京都西山の小塩山に自生するカタクリと京都府天然記念物のギフチョウの保護活動を中心に、西山の自然を守りたいと願うボランティア団体です


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活動報告 2022年度2023年度


カタクリ


          

カタクリはユリ科の植物です。以前は鱗茎の澱粉から片栗粉を取りました。信州や東北ではどこにでもあるので山菜料理で食べています。
以西では希少種なので採取しないでください。3月から1枚葉が出て来て、4月には2枚葉の花芽を付けたの出てきて、花を咲かせ、5月
上旬には葉が枯れて実ができる。6月には種子ができ、地中で翌春を待ちます。種子から花が咲くまで7~9年ほどかかります。。


落葉樹が葉を繁らせるまでの短期間に生育する植物はカタクリを初めフクジュソウ、イチリンソウ、等々があります。これらは「スプリング
エフェメラル(春のはかない命)」いわれ、「春の妖精」とも呼ばれます。


早春の落葉広葉樹林を彩るカタクリは、よく観ると個性豊かである。送粉昆虫を誘因すると言われる花色やW字状の蜜標、葉の紋様など
個体毎に異なる。花は下向きに咲き、花被片(花びら)は6枚ある。花の中央に雌しべ1本と、それを取り巻くように長短3本ずつの雄しべが
ある。雌しべの基部には子房がある。中は3室に分かれており種子を形成する。又子房の側には蜜腺がある。これらはユリ科の特徴である。
カタクリは世界で26種類あるが日本では1種類だけである。


カタクリは昆虫と共生している虫媒花で、マルハナバチやギフチョウなどの送粉昆虫(ポリネーター)に依存しています。カタクリの開花と送粉昆虫
の活動とタイミングが合っていることが双方にとって重要です。


 カタクリがどのように花が開くのでしょうか
   
2枚葉に守られて、地上に出てきても花芽は上を向いています。太陽の光を浴びて養分を取り込んで首が垂れるように成長して、晴れもしくは薄曇りの
    暖かい日15℃ぐらいになると一斉に咲き出します。晴れていても寒い日は開かない場合もあります。当然雨天や雪の日は開きません。夕方になると
    花片を閉じます。花粉を雨露から守っているのでしょうか。寒い日は送粉昆虫も飛んでこないので閉じていると考えると非常に賢い植物です。

 

生活サイクル

カタクリは秋の終わり頃、すでに鱗茎が活動を開始している。1枚葉の展開は3月初旬、2枚葉の開花個体の場合は約10日程遅れる。
開花は4月初旬より始まる。5月の上旬には結実し1ケ月後には種子は落下、蟻によって種子散布される。(個体により1ケ月遅れる
何れも小塩山の場合) 発芽した年の実生は6~7㎝の紐状で、翌年2.5×1㎝程度の葉の形状となる。1年に約2倍程度の葉面積を
獲得しつつ、約7~9年経過し2枚葉となり開花、結実に至る。短期間の光合成による鱗茎への栄養の蓄積は極めて少なく、毎年開花
する可能性は、当年の栄養の蓄積と消費のバランスに左右されるようだ。種子の先端の付属体はエライオソームと呼ばれ、蟻を誘因
する物質を含んでいる。落下した種子は蟻によって巣に持ち込まれ再び巣外へ運ばれる。このような植物は、蟻散布型植物といわれ
ている(他にミヤコアオイ、スミレ、ミヤマカタバミなど)





カタクリの1年

      スライドショー   カタクリの1年


3月下旬には最初に1枚葉(花芽がないもの)が地表に出て来る。

その後 2枚の葉で花芽を包んだカタクリが土を突き抜けて地表に出て来る。

 

2枚の葉が開いて花芽が出て来る
 
   

もう少しで開花する  

  

暖かい太陽の日を浴びて開花
 
 
  

蝶や蜂等の送粉昆虫が蜜を吸いに来て受粉する

  

花片が枯れ落ちて果実が残る

   

受精しているかな? 葉は溶けるようになくなる

 

果実がはじけて中に種子が出来ている

   

地上に落ちた種子をアリが巣に運び表面の養分(エライオソーム)
を食べて、硬い種子を巣の外に放り出す

   

翌年の春には実生(1年目)のヒョロヒョロ苗が顔を出します。
踏まないように細心の注意を払っています

 



小塩山になぜカタクリが

カタクリは落葉樹林の中で育ちます。常緑樹林では育ちません。冷涼な中部地方以北には広く分布し、
平地でも多いです。近畿地方以西の自生地は局所的です。
小塩山は戦前には燃料として炭焼きが行われて、その薪炭林として数十年毎に切り倒されて、明るい
落葉樹林が確保されていて、カタクリに最適な環境が維持されてきました。戦後石油や電気等による
燃料が中心になって薪炭の利用が激変しました。その結果山に人手が入らずに放置されたたり、杉や
檜等の常緑樹の植林が行われて、カタクリに適した環境が減ってきました。小塩山山頂付近は昔からカタクリが
咲く区域として知られていました。この環境を残したいとの思いで20年以上前に当会が地主さんの了解を得て、
保護をしています。10年以上前に鹿による食害で絶滅の危機に遭いました。保護にはネットを張って守るしか
ないとの判断でNの谷を皮切りに炭の谷・御陵の谷・鏡の谷と延べ1500mに及ぶ保護ネットを張りました。
 
 
  


獣害防止用ネットの維持管理に費用が掛かります。皆様の会費やご寄付で賄っています。


会員を募集しています。4月にカタクリを見学に来て私達の活動に共感できたら、是非会員になって下さい。

会員(年会費500円)になって、私達と和気あいあいの楽しい維持管理をしてみませんか。

 連絡先 nishiyamanet@gmail.com



※カタクリの開花状況の問い合わせには応じておりません。ご了承ください。